先ほどの花園新温泉のご主人に教えていただいた旅館を発見しました。
エントランスがもの凄く立派です. . . . 。屋根はドーム状になっています。
玄関先から中を除くと丸窓が見えます…。これは転業旅館に間違いないと確信しました。
いよいよギロウズお得意の登楼交渉が始まります。
帳場から60歳位の旦那さんが出てきました。中を見学させて欲しいとお願いするとすんなりOKが出ました!!
「ここは昭和33年までは遊廓をやってました。売防法後は旅館に転業し今に至ります。僕はギリギリ遊廓を知らない世代で、おじいさんの代が1番賑やかな頃の遊廓を知っている世代です。戦争を境に時代は暗くなり僕らの親父の世代では遊廓というと少し冷たい目で見られるようになりました。所謂赤線時代ですね . . . 。」
遊廓から転業への道のりについて非常に分かり易い説明をしてくれました。
「旅行客はこんな場所まで足を運びません。随分客は減りましたが、今ではバックパッカーで奈良へくる外人客がほとんどです。安くて評判がいいんです。」
ちなみにこちらの宿泊代は、1泊なんと4,000円!!
今日の宿はここに決まり!!
と思いましたが、しっかりと宿泊先はおさえてありますよ。(そちらは後ほど)
因みにお父さんはもの凄くよく喋る方で、遊廓の説明から、何故か電話からインターネット社会への移り変わりまで歴史の流れを事細かく説明してくれました…
約15分の講義が終わった所で、中へとお邪魔いたしましょう。
いゃあ!お見事!!中庭がもの凄く綺麗に手入れされています!!
玄関から覗いていた丸窓の奥は吹き放しの廊下になっており、中庭が展望できます。
トイレとお風呂。どちらもタイル装飾が見事です。こちらは戦後のままとの事。
敷地内は4つの建物が中庭を囲むロの字型になっています。
異世界への架け橋こと、太鼓橋もしっかり架けられています。奥の建物はプライベートルームのため見学は出来ませんでしたが、大正時代に建てられたもので中は洋風になっているそうです。
こちら木辻遊廓の中でも相当の大店だったのでは??
「芸妓も数名在籍していました。ここの廓の中でも大店の方ですね . . . . 。」
やっぱり . . . . 。
それではお二階の客室を見せていただきましょうか
うわぁ~~!!きゃーん!!
横でグルメさんがいろっぽい奇声を発しましたよ。
各部屋それぞれに飾り窓がつけられており、それが部屋の名前になっています。
梅
入船
千鳥
ひさご
柳
どんどんいきますよ!!
丸窓
つき
楓
まつ
桔梗
全部で10部屋、10飾りありました!!これはシャレオツです。
こちらが大階段です。昔と配置は変っているものの見事な和洋折衷です。
古い建物だけあって維持するのがとても大変であり、つくづく嫌になる時があると言っていました。ただ、お父さんご自身が古い物を愛し、残される大切さについて熱く語ってくれました。
遊廓建築は維持が非常に難しく大概は野放し状態になり、取り壊されてしまうものですが、ここまで綺麗に手をいれられている事にとても感動しました。
帰り際、お父さんご自慢の車を見せてくれました。マニア涙もののホンダS600。
ここから15分間、本田宗一郎について今まで以上に熱く語ってくれました . . . .。
奈良へお越しの際は是非静観荘旅館へ泊まってみてはいかがでしょうか?我々も是非ここへ泊まってみたいと思います。お父さんの熱弁トークも楽しめます。
静観荘ホームページ
これにて奈良は終了。駆け足で次の地へと向います。
(つづく)